安定した生活基盤の構築と次世代への投資

日本政府の支援のもと、リプタコ・グルマ地域(ブルキナファソ・マリ・ニジェール )での平和の定着のための国境貿易を強化(2021年3月〜2022年3月) ブルキナファソ・マリ・ニジェール

2023年8月18日

バルキサ・ベレムさん(中央)と家畜たち

UNDP Africa Borderlands Centre

3児の母であるバルキサ・ベレムさんは、住んでいた北部地方ティウのテテシロ村が武装集団の襲撃を受けたため、避難を余儀なくされました。財産、家畜、食料の全てを奪われ、家々を破壊されたため、ベレムさんらは近郊のティタオ周辺に避難しました。数日後、テテシロ村の女性たちは、壷やその他の所持品を回収しに村に戻った際、再度武装集団の襲撃を受けました。バルキッサは「私たちは家の中に閉じこもり、彼らは私たちの所持品すべてを荷車に載せて奪っていきました」と語ります。

女性たちはティタオに戻りましたが、場所がなかったため、地域の首都であるワヒグヤに向かい、地元の当局に登録し、応急処置を受けました。バルキッサは「しかし後で、私たちは放置されました。」と語ります。彼女は避難前、村の診療所で薬を販売していました。ワヒグヤに到着した後、彼女たちは手助けに頼りました。「夫が何か持ち帰ると、私たちは幸せです。」

平和の定着のためのトレード・フォー・ピース・プロジェクトの一環として、バルキッサには、雄羊3頭、家畜飼料、飼料・水を与えるための桶が提供されました。

「私は今回の支援をとても嬉しく思います、なぜならこれらの支援物資が私の社会的・経済的立場を必ず改善する手助けになってくれると信じているからです。」

 

<プロジェクトについて>

2021年4月28日、UNDPアフリカ地域局ボーダーランド・センターは、日本政府の資金拠出を受けて、ブルキナファソ、マリ、ニジェールの国境地域において平和の定着のための国境貿易地域プロ ジェクトを立ち上げました。

本プロジェクトの目的は、境界コミュニティ間の相互理解を深めることを通じて、境界地域での平和構築と社会の結束を強化することでした。境界地域間のクロスボーダー・トレードを増加させ、食品の安全保障を強化し、生計向上や特に女性や若者向けの収入機会を増やすことでした。

本プロジェクトは、以下の活動を通じて国境地帯のコミュニティの強靱性を強化するのに貢献しました。

  • 収入創出活動を通じた生活の再建。

    →女性、若者、国内避難民など、脆弱な立場に置かれ疎外された人々が、収入を得て家族を養うようになりました。

  • コミュニティ間で対話するためのプラットフォームの設立とその活性化。

    →地域市場の施設と対話を通じて、各コミュニティが貿易を互いの共通項として相互に交流するようになりました。

  • リプタコ・グルマ地域の次世代への投資。

    →トレーニングや情報アクセスの促進を通じて、若者たちは学んだスキルにより雇用可能性が向上し、次の世代に研修を行うようになりました。

 

<主要な成果>

  • 7000人が越境貿易インフラと生産投入から恩恵を享受。
  • 68%の受益者が収入増加を報告。
  • 276人にスタートアップ資金を供与し支援。

 

<主要パートナーとしての日本とUNDP>

今回のプロジェクトを通して、日本のパートナーとの連携がプロジェクトの目達成を強化し、可視性を確保しました。ブルキナファソでは、チームが中北部地方カヤの県農業長官(JICAの元研修生)と連携して、国内避難民コミュニティの女性90人に市場志向型農業振興(SHEP)アプローチに関する研修を行いました。本プロジェクトは、UNDPが農業投入を提供することによって補完されました。女性たちは、ツールや機具と共に、自給自足型の農業から市場志向の農業に移行するためのビジネス・スキルを得ることができました。

日本の継続的な支援によって、UNDPと日本によって支援されているプロジェクトはSDGsの2030年達成を目指すアジェンダの実現にアフリカ大陸の様々な地域で貢献をしており、革新的な方法によって複雑な危機状況において市民たちをエンパワメントしています。

アフリカ開発会議(TICAD)は1993年に始まり、アフリカ開発における意見交換やパートナーシップのための主要なフォーラムとしての役割を果たし続けています。30年以上にわたって、アフリカと日本の双方で開催された計8回のサミットと、複数回の大臣級会議を重ねてきました。

実施プロジェクトは、経済・社会・平和の3分野に分類されます。日本とUNDPは、革新的なソリューションの考案やコミュニティへの支援を通じて、持続的かつ包括的で、全ての人々に安全と幸福が保障される未来を目指して活動していきます。