日本とUNDPがウズベキスタンの気候に強靭な農業の推進に向け協力

2023年9月28日
Photo: UNDP Uzbekistan

アラル海地域の気候変動、食糧安全保障、経済的安定、社会的福利といった相互に関連する課題への取り組みが、世界からますます注目されています。国連開発計画(UNDP)は数年にわたり、日本政府をはじめとする重要なパートナーやドナーとの協力のもと、アラル海地域の気候変動がもたらす、人間の安全保障の観点からの差し迫った脅威に取り組んできました。この協力関係に基づき、2023年9月、羽鳥隆駐ウズベキスタン共和国日本国特命全権大使と、アナス・ファヤド・カルマンUNDPウズベキスタン事務所常駐代表代理は、無償資金協力「アラル海地域における気候に対して強靱な農業を通じた自立支援計画(供与額2.8億円)」を行うため、協力に関する書簡に署名しました。

羽鳥特命全権大使は「アラル海地域の危機に対処するために多大な努力が払われてきたにもかかわらず、地球温暖化と気候変動の影響が問題をさらに複雑にしています。この大きな課題に対して効果的に対処するためには、人間の安全保障を推進し、持続可能で強靭な社会の構築に向けて団結した取り組みがこれまで以上に求められています。日本は、これまでの経験と知見を最大限に活用し、アラル海地域の持続可能で質の高い成長を引き続き支援していきます」と述べました。

羽鳥隆駐ウズベキスタン共和国日本国特命全権大使

Photo: UNDP Uzbekistan

また、アリッシャー・シュクロフ農業副大臣は「重点地域のコミュニティのエンパワーメントに私たちは取り組んでいます。気候変動に対して強靭な農法を導入し、社会インフラを強化することで、これらのコミュニティが自分たちの力で繁栄できるよう支援します。UNDPとそのパートナーの専門知識を総動員して、革新的な農業ソリューションを特定・推進し、代替エネルギー源を導入し、農作物の開発と事業強化のために日本の知見を活用します。さらに、気候変動リスクに晒されている遠隔地のコミュニティにおいて、安全な飲料水へのアクセスを改善することを目指します」と述べました。

ナス・ファヤド・カルマンUNDPウズベキスタン事務所常駐代表代理(左)とアリッシャー・シュクロフ農業副大臣(右)

Photo: UNDP Uzbekistan

本プロジェクトはコミュニティがより多くの収穫・収入を得ることができるよう、草の根レベルでより効率的な新しい農法を導入します。また、気候変動に強靭なコミュニティ開発計画の策定支援に加え、農村部の住民が清潔な飲料水や持続可能なエネルギーなどの気候変動に対して強靭な社会サービスへのアクセスを提供します。これらの活動を通じて住民の健康と食料安全保障を守ることを図ります。更に革新的な農業技術により農村部の強靭性を強化してきた日本の豊富な経験や専門知識の活用を検討し、両国間の交流を促進することも目指します。

直接的な受益者は、アラル海地域沿岸部の北部4地区(ホジェイリ、チンバイ、ケジェイリ、ヌクス)における37.6万人以上の住民、間接的な受益者は190万人と推定しています。また、本プロジェクトの目的・目標は、アラル海危機の影響に対処するためのウズベキスタン政府の政策と戦略に完全に合致しています(アラル海地域を「環境革新と技術のゾーンとして宣言するための国連特別決議の実施に関する大統領令(2021年7月29日採択)、アラル海地域の持続可能な開発のためのコンセプトノートと統合ロードマップの採択に関するウズベキスタン共和国閣僚会議決議(2022年1月25日採択)、アラル海地域の環境と社会経済状況、住民生計の改善、環境災害を軽減するための投資プロジェクトの効果的な実施に焦点を当てた「2020-2030年のウズベキスタン共和国の農業開発戦略」に関する大統領令(2019年10月23日採択)等)。

本プロジェクトを実施するにあたり、UNDPはアラル海地域の人々のために強靭で自立した未来を築くというコミットメントを再確認します。関係者との連携と革新的な解決策を通じて、私たちは気候変動がもたらす影響を緩和し、すべての人の利益のために持続可能な成長を促進します。