開催報告:第一弾JPOキャリアセミナー (2024)

2024年2月27日

左からJean-Luc Marcelin (Partnership&Talent Outreach Specialist)、峰安悠美(ガーナ事務所)、斎藤紋衣子(カンボジア事務所)、和泉寿之(パキスタン事務所)

UNDP駐日代表事務所は2月15日(木)、JPOキャリアセミナー第一弾をオンラインで開催しました。  

UNDP駐日代表のハジアリッチ秀子による開会の挨拶の後、外務省国際機関人事センターの鈴木恵子氏よりJPO派遣制度の紹介があり、公募との違いや制度の実績などに加え、受験資格、選考プロセスや必要書類など具体的な応募に関する説明がされました。 

その後、UNDP人事部JPOサービスセンターのJean-Luc Marcelin (Partnership&Talent Outreach Specialist)から募集中のUNDPのJPOポストに関する具体的な説明がされたほか、事前に集められた質問への回答が行われました。 

そして、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)派遣制度でUNDPに入職した、峰安悠美(ガーナ事務所)、和泉寿之(パキスタン事務所)、斎藤紋衣子(カンボジア事務所)の3名が、Jean-Luc Marcelinのファシリテーションのもと、JPO派遣に至るまでの経緯やキャリア、またUNDPでの業務内容等についてそれぞれ紹介しました。 

JPOになるまでのキャリアパスと現在の業務内容 

峰安悠美:開発コンサルタントやイギリスでの修士号取得、UNIDOでのインターン等を経て、JPOとしてガーナに赴任したと述べ、開発コンサルタント時代に学んだ産業振興や貿易に関する知識が、現在JPOとして携わっているアフリカの貿易関連の業務にも大いに役立っていると話しました。 

和泉寿之:民間企業やエチオピア大使館での勤務、イギリスでの修士号の取得やスーダンでのUNVを経て、JPOとしてUNDPでのキャリアを開始して以来、本部やパプアニューギニア、南スーダン、シリア、パキスタンなどで勤務経験を積み、平和構築、紛争予防、危機対応など様々な分野の業務に携わってきたことを述べました。 

斎藤紋衣子: JPOとして赴任する前は、世界銀行等で実務経験を積んでいたと述べました。その後、博士課程、ポスドクを経て、研究者の道を志していたものの、実際に現地の政府や関係者と共同で開発に携わることの重要性を実感したことをきっかけに国際協力のキャリアを再度志し、JPO応募に至ったことを説明しました。JPOとしてカンボジア事務所に赴任して以来11年間同事務所に勤務しており、そうしたキャリアパスは珍しい一方、国事務所でマネジメントを含む、さまざまな仕事、ポストを経験し、政府やその他様々なステークホルダーと協働しながら現場で変革を起こしていく楽しさを伝えました。 

 

JPOや国連職員として働くうえで大変なことや留意すべき点 

峰安悠美:現在幼い子ども2人を育てながら現役JPOとして勤務している立場から、子育てと仕事の両立について触れ、UNDPでは子育てなど家庭の事情に関して上司や同僚の理解があり、家庭とキャリアを両立しやすい環境が整っていると述べました。また、現在勤務している地域事務所では、国事務所と比較するとUNDPのプロジェクトの受益者が見えにくいことに触れ、自分がどのようなことにやりがいを感じるかに応じてポストを選択する必要性を示唆しました。 

和泉寿之:国連職員として働くにあたっては、①勤務地が固定されておらず世界各地に赴任するため、新しい場所に派遣される度に赴任先の生活環境に適応するのが大変であること、②国際機関の業務は紛争など地域情勢の影響を受けやすいこと、③有期の雇用契約であることから、雇用が100%保障されているわけではないことの三点に言及しました。それと同時に、違う見方をすれば、国連でのキャリアは自由度が高く、世界各地で自分の希望するキャリアを構築できる楽しさもあることを伝えました。 

斎藤紋衣子: JPOとして派遣された時期は幼い子どもの育児をしていたため、家庭とキャリアの両立が大変ではあったものの、周囲の職員は家庭のニーズに理解があり、無事任期を終えることができた経験を話しました。また、国連でのキャリアは自由度が高い一方で不安定であるため、その時々の状況に応じた柔軟なキャリア選択を心掛けるとともに、前もってキャリアプランを立て、それを家族など周りの人たちとよく話し合っておくことが大切であるとしました。 

 

JPOや国連職員として働く楽しさ・やりがい 

峰安悠美:多様なバックグラウンドを持った職員が集まる職場で働く楽しさや、同僚同士の関係性が良く、事務所では月に一度の集会や職員の誕生会などイベントも多く開催されていることを話しました。 

和泉寿之:貧困削減などのグローバルな課題には、自分の人生をかけて取り組む価値があり、UNDPでの勤務を通してそれらの課題の解決に貢献していることに大きな達成感を感じていると伝えました。 

斎藤紋衣子:環境問題の解決に貢献することが自分の人生のミッションであるため、UNDPでの仕事を通してそのミッションを達成できていることに充実感を覚えると述べました。UNDPは環境以外にもガバナンスや経済などに取り組んでいるため、様々なグローバル課題を包括的に解決していけるところがUNDPの強みであると話しました。 

 

JPO応募に関するアドバイス 

峰安悠美: 今年応募予定の人に対しては、自身の強みを理解し、自分がどのように組織に貢献できるかを、応募するポストの募集要項(ToR)と関連付けながらアピールすることが重要であると述べました。また、来年以降の応募を検討している人に向けて、今は具体的にどのポストに応募するかを考えること以上に、自分がやりたいことに情熱をもって取り組み、自身の強みを伸ばすことに専念するのが重要であると強調しました。 

和泉寿之: 自分がこれまで何をやってきたか(過去)、なぜ今JPOに応募するのか(現在)、JPOの後にどんなキャリアを歩みたいのか(未来)を、一本のストーリーに仕立てて説明できるようにしておくことが重要であると述べました。また、これまでの経験を応募するポストの内容と関連付けられると良いとアドバイスしました。 

斎藤紋衣子: 応募要件をよく確認し、一つ一つの要件を全て満たしていることを明記することや、「チームとして(We)何をしたか」ではなく「自分が(I)チームのなかでどんな役割を果たしたか」を説明することが重要であると述べました。また、JPO制度は任期終了後も国際機関に残れる人材を探しているので、長く国連で活躍できる経験と知識、人材であることをアピールできると良いと話しました。   

セミナーの最後には質疑応答セッションがありました。JPO派遣に関する事務的な質問から、大学院の専攻やJPO後のキャリア構築についてなど、様々な質問が寄せられ、登壇者3名がそれぞれの経験を踏まえながら回答しました。セミナー全体を通して、登壇者からは、自分のやりたいことを追求し、知識やスキルの獲得やネットワークの構築に積極的に取り組んでいけば自ずと道は開けていくという共通のメッセージが発せられました。