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Japan SDGs Innovation Challenge

国連開発計画(UNDP)は世界91カ所にUNDPアクセラレーター・ラボ(Accelerator Labs)を展開(活動対象は115カ国)し、現地の政府や様々な団体、そして企業と連携しながら、開発課題の新しい解決策を創出する活動を進めています。2020年からは、内閣府の拠出金を原資に、アクセラレーター・ラボが日本の民間企業と連携し、途上国の開発課題の解決策を創案する「Japan SDGs Innovation Challenge 」を実施しています。

Japan SDGs Innovation Challengeは、アクセラレーター・ラボが持つ課題と、それに応える技術やアイディアを持つ日本の企業や団体を組み合わせ、現地のニーズに対応する解決策を協働で創造する新しい取り組みです。 本事業の運営にあたっては、一般社団法人Japan Innovation Network (JIN)が伴走支援を提供しています。

自社・自団体の強みを課題解決に活かしたい企業・団体や、SDGs達成に貢献したい企業・団体へ向け募集をかけ、活動の対象となる国やプロジェクトは、世界各国のアクセラレーター・ラボの提案に基づき選ばれます。連携する日本企業・団体も、公正なプロセスを通じて選考され、契約締結後、活動予算が支払われます。

現在合計7カ国のUNDPアクセラレーター・ラボが日本企業・団体と協力し、各国の課題への対策になり得る解決策のモデルを共同開発・設計し、実証実験を進めています。そのうち、2020年度に選ばれた4カ国のアクセラレーター・ラボと企業・団体は以下の通りです。

UNDPインド事務所とNEC Corporation India

スパイス産業へのブロックチェーン技術の導入 【2020年12月~】

インドのスパイス産業では、品質とトレーサビリティの担保や、生産農家がアクセスできる情報の限界、それに伴う収益の低さなどが課題となっています。そこでUNDPインド事務所はNEC Corporation India社と連携して、ブロックチェーン技術の導入検証を進めました。農家が農場や収穫の情報を入力するアプリを開発し、これを使ってアーンドラ・プラデーシュ州グントゥール市周辺の1000軒の唐辛子農家を対象に、生産流通情報を可視化する実証実験を行いました。今後、対象香辛料と対象地域を拡大していくことを計画中です。


UNDPトルコ事務所と一般社団法人ソトノバ

住民参加型デザインの国を越えたオンラインでの実践【2020年12月~】

UNDPトルコ事務所はギョクチェアダ島において、子どもから大人まで参加してもらう住民ワークショップを数回実施して、その結果を反映した屋外公共スペースの全体像および施設をソトノバと共にデザインしました。現在、住民が主導して公共スペースの整備が進んでいます。公共スペースの運営やイベントの開催も住民自らが行っていく予定です。今後、このプロジェクトで確立した手法を活用して、トルコの他の地域での公共スペースのデザインを進めていく計画です。


UNDPベトナム事務所と日本有人宇宙システム株式会社 (JAMSS)

増加する大量の廃棄物に対する循環型経済アプローチ【2020年12月~】

UNDPベトナム事務所は、JAMSSとの連携のもと、衛星画像によるプラスチックゴミ検出モデルを構築し、ダナン市の河川と海岸のプラスチックゴミ集積のホットスポットを特定しました。今後、ダナン市の廃棄物管理施策に活用できるように、プラスチック以外の汚染源も検出するモデルの構築を計画しています。


UNDPフィリピン事務所とJAMSS

パシッグ川におけるプラスチック廃棄物の衛星リモートセンシングに関する実証【2020年12月~】

UNDPフィリピン事務所は、マニラ首都圏のパシッグ市の河川で、衛星画像とドローン等で撮影した地上の画像を比較して、JAMSSとの連携のもと、衛星画像によるプラスチックゴミ検出モデルを構築し、プラスチックゴミ集積のホットスポットを特定しました。今後、対象河川をマニラ首都圏全域に拡げ、より多くの自治体での廃棄物管理施策に役立てることを計画中です。

これらのプロジェクトが順調に進んだことから、上記4カ国での協業を継続できるよう、2021年度には内閣府より2年目の活動資金として各プロジェクトに4万ドルずつの追加支援が提供されました。 さらに、同年度には、南アフリカ、ブルキナファソ、マレーシアのアクセラレーター・ラボが、Japan SDGs Innovation Challengeの第2陣として選出されました。 取り組む分野は、食のサプライチェーン強化と災害リスク軽減です。また、活動3年目となる2022年度のプロジェクト実施についても計画が進んでいます。

2020-2021年度の2年間にわたり、日本の内閣府から計90万ドルの拠出金が寄せられたことでJapan SDGs Innovation Challenge は実現が可能となりました。 この共創型の取り組みは、日本の民間企業・団体の保有する技術やイノベーションで SDGsの達成を加速させ、途上国の課題解決につなげる成功例となっています。

【ご参考】本プロジェクトに関する内閣府のページ