数か月にわたるインキュベーション、アクセラレーション、そして企業間交流の成果として実現した覚書(MoU)は日越連携の象徴に
ベトナムのスタートアップと日本のパートナーが新たな提携を締結し、日越イノベーション協力を推進
2026年9月29日
2026年9月29日 東京発 - ベトナムのスタートアップ企業と日本のパートナー企業は本日、Tokyo Innovation Base(TiB)において覚書(MoU)に署名し、両国のイノベーション・エコシステム間で継続的に行われてきた支援とビジネス連携の具体的成果を示しました。
今回の提携は、持続可能な水産養殖、環境配慮型素材、スマート製造分野を対象としており、各企業は日本市場における実証事業および事業機会の開拓を進めていく予定です。
本署名は、ベトナム国家イノベーション・センター活性化計画の最新の成果です。同プログラムでは、ベトナムのスタートアップに対し、インキュベーションおよびアクセラレーション支援、市場検証、日本企業やイノベーション関連機関とのビジネス連携支援を実施してきました。
本プログラムは、日本政府が資金拠出する「ベトナム国家イノベーション・センター活性化計画」の一環として実施されており、UNDPベトナム事務所とNICが共同監理し、InnoLab Asiaおよび01Booster Inc.がビジネスマッチング活動の実施機関を務めています。
式典には、外務省(MOFA)、NIC、ベトナムのスタートアップ、日本企業、イノベーション支援機関の代表者およびUNDPが参加し、新たな提携を祝うとともに、さらなる協力の可能性について意見交換を行いました。
外務省 国別開発協力第一課 富田洋行企画官は開会挨拶で以下のように述べ、ホアラック・ハイテクパークにおける日越協力発展に関する期待を述べました。
「日本政府としても、ホアラック・ハイテクパークにおいて日越双方に利益をもたらす形で協力をさらに検討していきたいと考えています。日本企業の皆様には、機会がありましたら同パークを訪問いただき、そこで得られる多様な協業・事業展開の機会を探っていただきたいと思います。」
ネットワーク形成から具体的な提携へ
2026年6月および7月に実施された2回のビジネスミッションを通じて、本プログラムはベトナムのスタートアップと日本企業・イノベーション支援機関との間で102件の個別商談を実施しました。これにより、双方が市場ニーズを理解し、共通の関心領域を特定するとともに、将来的な協力の可能性を検討する機会が提供されました。
これらの取り組みの結果:
MoU(覚書)10件
NDA(秘密保持契約)4件
パイロット事業・PoC(概念実証)19件
資金調達機会13件
商業化機会9件
が創出され、単なるビジネスマッチングから、市場検証、投資、事業化へと発展していることが示されています。
また、インキュベーションやアクセラレーション、市場検証および継続的なビジネスマッチング支援を通じて、ベトナムのスタートアップはソリューションを磨き上げ、日本側パートナーと密接に連携しながら、初期的な接点をパイロット事業や中長期的な事業協力の機会へと発展させることができました。
ドー・レ・トゥー・ゴック UNDPベトナム 包摂的成長ユニット長兼代表補は、次のように述べました。
「ベトナムと日本は、イノベーション、グリーン・トランスフォーメーション、および質の高い人材育成を中核とする『包括的戦略的パートナーシップ』へと関係を発展させました。この強固な基盤の上に、UNDPはパートナーの皆様と共に、ホアラック・ハブにおけるディープテック分野の共創や、AI・半導体分野における技術協力の推進、さらにはベトナムと日本の地方自治体間の連携強化などを通じて、共通のインパクトをさらに拡大していくことを期待しています。」
共通の志を持つパートナーシップ
今回のMoUは、ベトナム発のイノベーションを日本市場で実証・適応していくための道筋を提供するものです。提携分野は環境配慮型素材、持続可能な農業、循環型経済、エネルギーマネジメント、スマート製造など多岐にわたります。
署名された主な提携案件
- BioWraps Solutions JSC × Pit-A-Pat Inc.
BioWrapsの生分解性素材を日本の成形・製造プロセスで検証し、日本市場向けの新たな持続可能製品の開発可能性を探ります。
- BioWraps Solutions JSC × Redge
Redge製品への適用実績を踏まえ、ヘルスケア分野におけるさらなる生分解性素材の活用を検討します。
- BioWraps Solutions JSC × KISHIVR
KISHIVRのVR研修技術を活用し、BioWrapsの事業拡大に伴う知識移転、業務手順管理、人材育成の可能性を検討します。
- BioWraps Solutions JSC × NAGASE
果実の皮由来セルロース繊維に関する商業・投資協力契約を締結しました。
- DEMETER × JDO
ベトナムにおける農業用ドローンのレンタルモデルの実現可能性を共同検討します。
- DEMETER × NPO Cross Fields
DEMETERの事業発展を支援するため、6か月間のプロボノ・ボランティアプログラムを実施します。
- LoopNet × JOYCLE
分散型廃棄物リサイクルソリューションの実証に向けたMoUを締結しました。
- LoopNet × Hello Clever
LoopNetのサプライヤー・エコシステム向け越境決済インフラの可能性を共同で検討します。
- VEEP × Richardson RFPD
商業施設向けエネルギーマネジメントソリューションの導入可能性を検討します。
- VEEP × AEON Delight
遠隔監視、エネルギー管理、CO₂モニタリング分野で商業導入段階へ進展しており、2件のサービス契約と3件の発注契約を獲得しています。
さらに、以下の企業間では、より踏み込んだ技術・事業協議を可能とするため、4件の秘密保持契約(NDA)が締結されました。
VOX Cool × HARADA
VOX Cool × enableX
Shoes AgTech × Pit-A-Pat
Next Robotics × enableX
これらの提携は、有望なソリューションを単なる市場接点から実証・パイロット実施へと発展させ、中長期的な事業協力の基盤を築くことを目的としています。
VEEP社 グエン・バック・ベトCEO兼会長は、本プログラムが同社の日本企業との有意義な関係構築と、市場開拓を具体的なビジネス機会へと結び付ける上で果たした役割について、次のように述べました。
「本プログラムを通じて、私たちは日本企業と直接意見交換を行い、そのニーズをより深く理解するとともに、実践的な協力の可能性を模索する機会を得ました。こうしたつながりはすでに具体的な成果につながっており、ベトナム国内のイオンモールおよびイオンマックスバリュ店舗において、当社の省エネルギーソリューションが導入されています。契約総額は約1億6,000万円に達しています。この成果を足掛かりとして、現在は日本国内のイオンとの実証事業の機会についても検討を進めています。私たちは、適切な市場機会を見極め、実際の価値を示すことができれば、ベトナムのスタートアップは日本の大手企業と有意義なパートナーシップを構築し、国際市場へと事業を拡大できると確信しています。」
日本側パートナー企業を代表して、Pit-A-Pat社 大井雅人代表は、ベトナムのスタートアップの可能性と日越連携強化の重要性について、次のように述べました。
「ベトナムのスタートアップについて最も印象的だったのは、革新的な製品だけでなく、それを支える技術力、スピード感、そして強い実行力です。日本とベトナムは互いを競争相手としてではなく、共通の社会課題の解決に向けて共に取り組むパートナーとして捉えるべきだと考えています。日本のものづくりの知見やイノベーション創出力と、ベトナムの機動力や起業家精神を組み合わせることで、大きな相乗効果を生み出し、事業発展を加速させるとともに、グローバル展開への道を切り拓くことができるでしょう。」
実証事業から長期的パートナーシップへ
今回のMoUは、日越イノベーション・エコシステム間のより深い協力関係に向けた長い道のりの新たな一歩です。今後、本プログラムは有望な協業案件について、初期的な接点から実証事業、さらには商業化および事業拡大へと発展させることを目指しています。
日本政府、UNDPおよびNICは、「ベトナム国家イノベーション・センター活性化計画」を通じて、ベトナムのイノベーション・エコシステム強化を支援しています。これにより、ベトナムのイノベーターが国際的なパートナーシップを構築し、新たな市場へアクセスし、包摂的かつ環境に配慮した持続可能な開発に貢献するソリューションを生み出せるよう後押ししています。
ハジアリッチ秀子UNDP駐日代表は、次のように述べました。
「日本とベトナムのスタートアップ、企業、投資家の間では、パートナーシップが着実に根付き、深まりと広がりを見せています。市場をさらに広げるには、それぞれが持つ現地のニーズへの深い理解を持ち寄り、協力に生かすことが重要です。本日ご参加の多くの企業が、社会の将来的なニーズを見据え、SDG 7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、SDG 12(つくる責任 つかう責任)、SDG 13(気候変動に具体的な対策を)など、持続可能な開発目標の達成に貢献していることを心強く思います。今後も、日本各地の企業とのパートナーシップが続き、さらに発展することを期待しています。」
式典の最後にはネットワーキングセッションが行われ、ベトナム企業と日本企業、ならびにイノベーション関係者がさらに関係を深め、将来的な協力可能性を模索する機会となりました。
「ベトナム国家イノベーション・センター活性化計画」について
「ベトナム国家イノベーション・センター活性化計画」は、日本政府の資金拠出により実施され、UNDPベトナム事務所とベトナム国家イノベーションセンター(NIC)が共同で運営しています。
本プロジェクトは、ベトナムの国家イノベーション・エコシステムの強化を目的としており、とりわけスタートアップを含む企業の競争力向上、社会課題および開発課題への対応、そして持続可能かつ包摂的な経済成長への貢献を支援しています。
プロジェクトでは、システムアプローチを採用し、政策・規制枠組み、資金アクセス、市場アクセスおよびエコシステム能力強化などの分野を通じて、イノベーション・エコシステムを構成する主要関係者と連携しながら支援を行っています。
また、「ベトナム・日本ハイグロース・スタートアップ・コネクション・プログラム」は本プロジェクトの一環として実施されており、ベトナムのスタートアップに対して、インキュベーション、アクセラレーション、能力開発、市場検証、および日本企業やイノベーション支援機関との連携機会を提供しています。