日本・南アフリカ両政府、UNDP、南アフリカトヨタ自動車、自動車産業における若者の育成を目指す「自動車産業人材育成プロジェクト」を正式開始

2022年7月5日
自動車産業人材育成プロジェクト

左から:南アフリカトヨタ自動車Senior Vice President Suben Moodley氏、UNDP南アフリカ常駐代表 Ayodele Odusola氏、Coastal KZN TVET College Administrator Ndoda Biyela氏、Blade Nzimande高等教育・科学・イノベーション大臣、丸山則夫駐南アフリカ共和国日本国特命全権大使

Photo: UNDP South Africa

2022年5月13日、日本・南アフリカ両政府と国連開発計画(UNDP)南アフリカ事務所は、ツワネサウス技術教育・職業訓練(TVET)カレッジやノースリンクTVETカレッジなどの受益大学の一つとして、沿岸KZN TVETカレッジにおいて「南アフリカにおけるCOVID-19後の経済回復に向けた脆弱な女性と若者に対する自動車セクターの職業訓練と再訓練」プロジェクトを正式に発足させました。

このイニシアチブを支援し、南アフリカトヨタ自動車(TSAM)の若者のエンパワーメントプログラムと連携して、南アフリカトヨタ自動車は2021年12月にUNDPと覚書を締結し、沿岸KZN TVETカレッジのスウィントンキャンパスでトヨタ製造アカデミー(TMA)の正式オープンに至ったのです。南アフリカトヨタ自動車は、トレーニング能力を拡大・強化し、再工業化された南アフリカの将来のリーダーとなる若者のさらなるエンパワーメントに向けて取り組むため、トヨタ製造アカデミーを設立しました。

このプロジェクトは2021年3月に開始され、自動車部門をターゲットに、南アフリカのコロナ後の経済回復に貢献する一連のイニシアチブを実施しました。これらのイニシアチブには、スキル開発に関するさまざまなトレーニングや活動、若者やTVETカレッジの能力を強化するための自動車ワークショップ機器の提供など、コロナ後の経済や労働市場のニーズに沿ったものが含まれていました。

この三者協力により、機械、電子、電気、ICT機器を沿岸KZN TVETカレッジへ提供し、トヨタ製造アカデミーを通じ24人の若者を支援することができました。

このコラボレーションは、SAYouthプラットフォームの推進を通じて大統領府青年雇用構想を支援し、11,500人の学生がサインアップして機会につながり、530人がこれまでに雇用と収入を得る活動を行いました。また、オンライン自動車キャリアプラットフォームYakh'ifutureの開発を支援し、TVETカレッジ生徒が業界でのキャリアを模索・計画し、ツールや技術を使って練習し、成功のための新しいスキルを開発できるよう支援してきました。さらに、64人の若者(うち、26人が女性)が、製造オペレーターのスキル、就労準備、男女平等、社会的包摂に関するトレーニングを受けました。

ツワネサウスとノースリンクの両TVETカレッジには、ノートパソコン、インタラクティブホワイトボード、プロジェクター、ソフトスキル開発用のデジタルコンテンツなどのデジタル学習設備が導入されました。また、TVETカレッジ3校の24人の講師が、ブレンド型教授法に関する研修を受けました。さらに30人の講師が、自動車産業で必要とされる最新技術やトップアップスキルに関するトレーニングを受け、この分野でのパートナーシップを構築する予定です。

Blade Nzimande高等教育・科学・イノベーション大臣は、プロジェクト発足式典でのスピーチで、「私は常々、TVETカレッジと産業界のパートナーシップの強化を提唱しており、産業界のニーズに応えるためにカリキュラムの強化を続けています。」と述べました。同大臣は、高等教育訓練省が、南アフリカの失業と貧困を削減しながら、技能不足を抑制する目的で、需要の高い13の職業を優先して、19のTVETカレッジに26の専門センターを立ち上げるキャンペーンに乗り出したことに言及しました。

UNDP南アフリカ常駐代表のAyodele Odusolaは、このプロジェクトの成果は、TVETカレッジを活性化し、21世紀とコロナ後の復興に必要な自動車技能の基礎を築く上での戦略的パートナーシップの力を反映していると強調しました。「若者の育成は、貧困、不平等、失業という3つの開発課題に対処するための鍵です。若者のスキルを高め、未開発の才能を引き出すことは、包括的で持続可能な経済開発を促進するだけでなく、社会に変革的な影響を与えます。私たちは、マルチステークホルダー・パートナーシップを通じて、このプロジェクトが短期間で若者の開発に関する多くの成果を上げたことを非常に誇りに思っています。」と付け加えました。

丸山則夫駐南アフリカ共和国日本国特命全権大使は、「トヨタ製造アカデミーはTVETのマスタークラスであり、国際協力の全く新しいコンセプトであると認識しています。南アフリカトヨタ自動車は、学生を訓練するだけでなく、学生の将来のキャリアに責任を持つことを約束しています。プロジェクトの成果はとても目に見えるもので、実際に雇用を生み出しているのです。今年は、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)をチュニジアで開催する予定です。トヨタ製造アカデミーは、日本政府、国際機関、民間企業の協力によって実現したTICADの大きな成果の一つだと確信しています。トヨタ製造アカデミーをベストプラクティスとして紹介し、TICADの共催者であるUNDPとともに、その成功をより広いアフリカに広げていきたいと思います。」と述べ、パートナーシップの重要性を強調しました。

南アフリカトヨタ自動車上級副社長のSuben Moodley氏は、複雑なスキルセットに対する需要の高まりと、自動車産業における新しい雇用を創出する可能性に言及しました。「ハイブリッド車からプラグインハイブリッド車、バッテリー電気自動車から燃料電池自動車まで、さまざまな運転支援システムを搭載した新しいタイプの自動車が登場し、従来の市場は再定義されつつあり、デジタル化とスマートファクトリーシステム、そしてそれらを支えるスキルセットが必要とされています。同様に重要なスキルとして、レジリエンス、柔軟性、問題解決力、創造性などのソフトスキルも高く評価されるようになることでしょう。つまり、テクニカルスキルだけではなく、ソフトスキルとテクニカルスキルの組み合わせが課題となっているのです。」と強調しました。

適切なスキルとTVETカレッジの変革により、南アフリカは、貧困、不平等、失業という3つの開発課題に有意義に取り組むことができます。このようなダイナミックな取り組みには、最終的に強力なパートナーシップが必要です。このため、UNDP南アフリカは、日本・南アフリカ両政府および南アフリカトヨタ自動車と協力し、青少年育成と適切なスキルとTVETカレッジの変革をさらに進めていく予定です。