コロナ禍からの復興後もウズベキスタンに寄り添う日本

マチルダ・ディモフスカ UNDPウズベキスタン常駐代表

2021年7月13日

Image: UNDP Uzbekistan

真の友情は困難な時期にこそ分かる、とよく言われます。これが真実であれば、多くの開発途上国にとって、日本はどのような状況下でも、一貫して友情を立証してきました。実際、日本は世界で最も寛大な開発パートナーに名を連ねています。2020年には2019年(155億ドル)から9.5%増の、163億ドルの政府開発援助(ODA)を行っています。

法の支配、優れたガバナンス、民主主義、自由、そして人権の尊重は、日本の外交に欠かせない要素として、地球規模の課題に取り組み、地球規模の公共財を推進するという、そのコミットメントの基盤となっています。日本はまた、全ての持続可能な開発目標に光を当てながら、人々と豊かさ、地球、平和、そしてパートナーシップというテーマを特に重視することにも力を注いでいます。  

使途指定のないUNDP通常資金に対し第3位の拠出国となっている日本は、UNDPが国際的に活動を展開し、どこで何時危機が起きようとも、素早く対応できる能力を提供しています。2020年にはUNDP通常資金に7,120万ドルを拠出したほか、200件を超えるさまざまなプロジェクトに対し、2億3,500万ドルのノンコア資金(使途が定められているプロジェクト別の資金)の提供も行っています。そこには、ウズベキスタンのプロジェクトも含まれています。

日本はウズベキスタンの友好国兼パートナーとして、独立当初から支援を行い、その発展に寄り添ってきました。日本の支援は、政府による二国間支援と、UNDPのような国際機関を通じた多国間支援から成っています。優先的支援領域の一つとして、ウズベキスタンの市場経済を確立し、雇用スキルの育成などを通じ、その経済インフラの整備を支援することが挙げられます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)の社会経済的影響によって、多数のウズベキスタン国民の生命と暮らしが脅かされると、日本政府はその拠出額を倍増させ、状況のさらなる悪化を防ぎました。

2020年3月にパンデミックが始まったことを受け、UNDPと各国のパートナーは、直ちに取り組むべき多くの課題に直面しました。人々の健康を守りながら、全国的な都市封鎖(ロックダウン)の社会と経済に対する悪影響への対策を練るための取り組みを後押しする必要があったからです。

日本はパンデミック当初から、いくつかの具体的な取り組みを通じ、ウズベキスタンの人々に迅速な支援を提供するため、計510万米ドルを拠出しました。そのうち190万ドル近くがウズベキスタンのUNDP COVID-19緊急対策プロジェクトに充当され、1,700人分の個人用防護具/機材、570台のパルスオキシメーター、6台の人工心肺装置に加え、集中治療室(ICU)用医療機器の調達と設置が可能になりました。この当初資金は、ロシア語、ウズベク語、カラカルパク語でコロナウイルスに対する曝露リスクを抑える方法に関する情報を掲載したポスターとパンフレット11万5,000枚の製作と配布にも用いられました。日本からの拠出は、2020年から2021年の最初の数か月にかけてコロナウイルスに感染したウズベキスタン人8万3,649人の回復も支えました。

残る320万ドルの資金は、UNDPと国連人口基金(UNFPA)よる共同プログラム「アラル海地域における環境破壊による健康、環境および経済不安に対する地域社会の復元力構築(Building the resilience of local communities against health, environmental and economic insecurities caused by environment destruction in the Aral Sea region)」に用いられました。この資金により、同地域には個人用防護具(PPE)や情報冊子とともに、人工心肺(AVL)装置の配置も可能になり、ウズベキスタンで最もリスクが高い人々の救命にも貢献しました。

この共同プログラムは、ウズベキスタン全土で地方自治体庁舎をデジタル化し、新たに設置される新規デジタルツールのさらなる有効活用に向け、9,600人の地方自治体職員に研修を施すという取り組み(現在も継続中)も後押ししました。マハッラ・家族支援省に対する幅広い技術支援の中には、同省と市民自治団体との間の情報交換円滑化を目的とするマハッラ(地域共同体)100か所への電子文書管理システムの提供、情報収集・分析のための統一データベースの開発、および、複数の高度なオンライン通信チャネルの整備が含まれています。この分野での支援は、コロナ禍からの復興支援と、ウズベキスタンにおける持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた長期的な勢いの確保という両面で、不可欠な役割を果たしています。ウズベキスタンのシャフカット・ミルジヨーエフ大統領もこの点を認識し、あらゆるレベルの管理者に対し、その日常業務でデジタル化を進めるよう呼びかけています。

同じ分野で、もう一つ興味深い取り組みとして、日本の支援はUNDPの女子中高生向け技術コンクール「テクノベーション・ガールズ」にも活用されています。このプロジェクトは現在までに、ウズベキスタンでSDGsを達成するための革新的方法を提供する41のモバイル・アプリを生み出しています。応募作品では、気候変動や家庭内暴力、いじめ、移民の子どもたちが直面する固有の問題、病院へのデジタル・アクセス、食品廃棄物の処理、NGOのボランティア人材集めなど、幅広い重要な課題への取り組みが行われています。

UNDPは、日本政府からの支援を受け、数千の起業家や中小企業に、研修と資金を提供することができました。この支援の中には、助言サービスやコーチング、中小企業80社に対する開業資金提供、40件のソーシャル・イノベーション・プロジェクトが含まれています。また、新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けた農村部7カ所の農業協同組合に、専用機材を提供することもできました。

日本の支援はコロナ禍の中、UNDPの支援によるオンライン講義やビデオ研修の開発にも役立てられました。これらの活動は、ウズベキスタンで成長しつつある技術部門と、復興を遂げつつあるサービス産業を担う専門的人材の養成に欠かせないものとなりました。こうした研修は、カラカルパクスタン地域で実施されているUNDPとUNFPAの共同プログラムでも、重点項目となっています。

コロナ後:日本の支援でウズベキスタンのより良いみどりの復興を

コロナ禍により、ウズベキスタンのあらゆる領域で、危機を跳ね返す力を高める必要性が浮き彫りになった一方で、ウズベキスタンがより包摂的で、環境に優しい経済を目指す中で、プラスの変革を図るために目指すべき新たな方向性も明らかになりました。ウズベキスタンがコロナ危機を脱し、今後、より良い復興や緑の復興を図るためには、日本の支援と助言が欠かせないでしょう。

新型コロナウイルス感染症の健康への影響とともに、その社会経済的影響にも対処するためには、政府パートナー及び国内的、国際的ステークホルダーとの協業の拡大が必要となっています。こうした取り組みは、ウズベキスタンが持続可能な経済復興を遂げる中で、2021年とそれ以降も続けられることになります。ウズベキスタンが立ち直りを果たし、持続可能な開発目標を基盤とし、そこからヒントを得ながら、誰一人取り残さない未来に向けて、自信をもって歩を進められるようにするためには、日本政府をはじめとするパートナーの貢献と支援が不可欠となるでしょう。


ウズベキスタンにおけるUNDPの新型コロナウイルス感染症対策と、ドナー各国からご支援いただいた資金の使途の詳細については、UNDPウズベキスタン事務所のコミュニケーション・アナリストFeruza Nomozova(feruza.nomozova@undp.org)までお問い合わせください。